責任の線引き
私は、8年間国際輸送業界に身を置いていました。運送業や旅館、保険などのサービス業は、顧客に対して「約款」を提示しなければなりません。「約款」とは、サービスを提供する業者が顧客に対して負う義務と行使できる権利が明記されています。「我々の責任の範囲はここからここまでです。」と明記されています。
行政書士は、「権利義務又は事実証明に関する書類の作成」ができるとされています。約款もこの中に入ると思われます。ところが行政書士自身が責任の範囲の線引きができていないように思います。「ADR(裁判外紛争解決)」や「成年後見」は、行政書士法に規定されていない業務です。行政書士の資格を持たない人でも行うことができます。ということは「行政書士として」ではなく「一個人」として行うことができる業務です。憲法には、「経済活動の自由」が保障されており、公序良俗、法令に反しない限りは、誰でもどんな職業に就くことができます。ところが、「個人」の経済活動の自由を「行政書士という資格にも経済活動の自由がある」と勘違いしている方が多数います。組織を取りまとめる立場の方にもいます。行政書士法に規定されていない「ADR」や「成年後見」は、誰がどのような立場で業務を遂行するのか、はっきりしていません。個人で行うことができる業務を、行政書士会や連合会が「会員全員」の会費を使って行うのには納得がいかないものがあります。行政書士、行政書士会、連合会の責任の所在をあやふやにするような方々に、人様の責任の所在を線引きする契約書の作成がまともにできるのか、大いに疑問です。
「責任の線引き」についてルーズな同業が多いです。約款の存在が当たり前な環境にいた自分は、「責任の線引きをきっちりさせること」は行政書士会の中では異質なようです。職務上おかしな話ではありますが。


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